幾千の時を超えて
「!!」

その言葉に気が付いたら勢いよく顔をあげていた。

まさか……。いや、そんなに簡単に見つかるはずはない。

天はあれとの遭遇を恐れている。

必ず妨害が入るはずなのだ。

そんな簡単には―――



「旦那様、隼様がお帰りになりました」

家政婦がそっとそう声をかけてきた。

「まったく、やっと帰ってきたか。すぐ来るように伝えなさい」

「はい」


その言葉に思わず、こぶしを握る。

でも、本当にあれだったら……?

もしかして、本当にあれかもしれない。


「ただいま~。なんだよー。まだ制服も着替えてないんだぞ?」

「今日は大切な新しい妹が来る日だと伝えておいただろう?」

「あれ? 今日だっけ? わるいわるい。忘れてたー」

「忘れてたじゃないでしょ! ほら、はやくこっちに来て挨拶しなさい」

そして、扉から顔を出したのは―――――
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