What's love?
「あたし、彼氏出来たから、もう大和と仲良くしないし、家にも行かない」
だから、高校に入ってすぐ、美咲にそう告げられたときは、
もう人生おしまいってくらい落ち込んだ。
美咲にとって、俺は特別でもなんでもなかったんだって。
その他大勢の男友達でしかないんだって。
なんで、あんな知り合ってすぐの奴と付き合うんだよ。
俺は3年間、誰より美咲を思ってきたのに。
そう思うとやりきれなかったけど、
たまに校内で見かける、彼氏と一緒の美咲は幸せそうで、その幸せを奪う権利なんて俺にはなくて、
黙って身を引くしかなかった。
彼氏と一緒にいる美咲は、何だかとても大人っぽく見えた。
肩まで伸ばした髪は、ほんのり茶色に染まっていて、化粧なんかもしていて。
ずっと一緒にいた美咲を、客観的に見るようになって、改めて変わっていく美咲に気づく。
変わっていく美咲と変わらない俺。
このまま美咲が遠くへ行ってしまいそうで怖くて、
俺も変わろうと思った。
「髪、染めて」
そう言って訪れた友人の家で、
俺の髪は金髪に近い、めちゃくちゃ明るい茶色になった。
廊下ですれ違っても目も合わせてくれなくなった美咲が、俺の髪に気づいて目を丸くした時は嬉しかった。