What's love?
「大和、また身長伸びた?」
美咲が俺を見上げて言った。
「そうか?わかんね」
俺はわざと素っ気ない返事をすると、傘を奪い、美咲の肩が濡れてしまわないようにそっと傘をずらす。
確かにこの一ヵ月で俺の身長は2センチ程伸びた。
そんなところまで気づいてくれるなんて、嬉しすぎるぜっ!
なんて、口が裂けても言えない。
「絶対伸びたよっ」
こんな風に、すぐむきになる所も可愛い!
なんてことも、言えない……。
だって、俺と美咲は友達だから。
「大和、シャワー貸してー」
「おー」
こうやって、何の躊躇いもなく、美咲が俺の家に上がるのも、
こんなラブホみたいな部屋に平気で入るのも、
俺が美咲の友達だから。
大きすぎる俺のスウェットを着た美咲は、かなりツボだったけど、俺はなるべく美咲を見ないようにマンガを読み続けた。
だって、初めての彼氏に浮気された時、美咲は俺に言ったんだ。
「彼氏は裏切るけど、友達の大和は裏切らないから、大和が大事」
って。
だから、俺は美咲の友達でいることに徹してきた。
友達でいられなくなった時、今の関係が壊れてしまうのが怖くて、
俺は美咲が色んな男のものになるのを、ただ見ていることしか出来ないでいる。