What's love?

返す言葉が見つからないあたしに、佳奈は小首をかしげると、何か思いついたような顔をして、いったんあたしの席を離れた。

「これ、昨日大和に頼まれたんだ。美咲に返しておいてって」

「それって……」

戻ってきた佳奈があたしに差し出したのは、昨日あたしが大和の家に忘れていった傘だった。

「なんであんたが持ってるのよっ」

佳奈の手から傘を奪い取る。

佳奈は一瞬驚いた顔をしたけれど、その後であたしを睨み付けた。

「わたしが持ってたらいけないの? あんたさ、何か勘違いしてない? 自分が大和の特別だとでも思ってんの?」

「何が言いたいのよ」

あたしも負けずと、佳奈を睨み返す。

すると佳奈は一変、また笑みを浮かべた。

「悪いけど、わたし今日も大和に呼ばれてるから。大和ねー、美咲がなかなかヤらせてくれないって嘆いてたよ。やっぱり男は……」

「もういいっ」

あたしの大声に、騒がしかった教室が静まる。

まわりに広がる、異様な空気を置き去りに、あたしは教室を飛び出した。

< 25 / 48 >

この作品をシェア

pagetop