What's love?
始業のチャイムを聞きながら、あたしは屋上へ向かった。
入口の扉を開けると、フワッと風が吹き付けて、夏を思わせる草の匂いがした。
授業中の屋上には、誰もいなくて、あたしは人目を気にすることなく、大の字に寝転んだ。
大和はやっぱり、他の女の子と同じように、あたしとセックスがしたかったんだ。
友達だと思ってたのに……。
あたしは、セフレなんてみっともない関係は、絶対に嫌だ。
でも、大和はそれを望んでたわけだよね?
「そんなに俺のことが大事ならさ、いい加減気付けよ」
昨日の大和の言葉が、頭の中をぐるぐる回る。
ずっとこの言葉の意味を考えてたけど、そういうことだったんだ。
何もしないで女の子と部屋で二人きりなんて、退屈だもんね。
どんどん卑屈になっていく思考を、止めてくれるものは何もなくて、あたしは長い間、どんよりとした梅雨空を、泣き出しそうな気持ちで見つめていた。