What's love?
好きだから

「はぁ……っ」

コンクリートの上に座り込むと、ため息が出た。

ひとりになりたくて屋上に来たけれど、梅雨特有の重そうな雲が迫って来るようで、俺の気分は余計重くなっていく。


左の頬が、まだ熱を持ってジンジンと痛む。

結局俺は何がしたいんだろう。


「大和はズルイよ。誰とも真剣に向き合ってないっ」

俺の胸に深く突き刺さったままの佳奈の言葉が、頭の中をグルグルと回る。

あの日、俺の部屋を飛び出した美咲と入れ替わるように、佳奈がやって来た。

佳奈とは、もう随分前から体の関係を持っていた。

美咲のことで、やりきれない気持ちになった時、最低だと思いながらも、俺は佳奈を抱いた。

だけど、その日はそんな気分になれるはずもなく、

「ごめん。俺、今日はそういう気分じゃねーんだわ」

玄関先で、佳奈を追い返した。

「わたしは別に、大和とエッチしに来たわけじゃないよ」

だけど、なかなか帰ろうとしない佳奈に、

「じゃあ、何しに来たんだよ」

俺は冷たい言葉を投げた。

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