私立!皇奏大学探偵サークル事件簿2―君の呼ぶ声―
私は慌てて伶を追いかける。
全く。ネコみたいに気まぐれに動くのはやめてほしい。
その気まぐれなネコに魅せられている私は本当にバカだ。
麻衣にまで注意されてしまったし。
『八雲さんにあまり近付かない方がいいよ。あの人、お金はあっても心は無いから。見た目に騙されちゃダメだからね深青。』
心が無い。
麻衣は伶をそう言った。
だけど、私は…
「なにしてる。早く案内してくれ。それとも車を呼ぶか?」
「ヤダよ。伶の家の車みんな高級車なんだもん。」
慌てて出た玄関先、伶はつまらなさげに私を待っていた。
…ほらね。
もし、伶に心が無いなら、さっさと行っちゃってるよ。
場所は教えてあるんだし。
「車がいやなら早くしろ。」
「はいはい。」
「返事は1回、だ。」
「了解。」
そうして私と伶は歩き出した。