私立!皇奏大学探偵サークル事件簿2―君の呼ぶ声―
「通うには遠いし、駒田大学の学生寮に空きがなかったし、自分の希望でアパート借りたから、たまには遊びに来いよ…っていう話が最後だったかな。」
黙ったまま、伶は私の話を聞いていた。
こういう時が、一番伶といて楽だ。
私の話に聞いているのか聞いていないのか分からない態度。
それくらいがいい。
一通り話終えた私は黙って歩いていた。
伶は私の隣りにいる。
目的地まであと少しのところで、伶は急に口を開いた。
「付き合ってた時と、別れたあと、どう関係が変わった?」
「え…うーん…もちろん、恋人同士がするようなことはしなくなったかな。あとは…和人が自分の話をしなくなった。」
「自分の話?」
「そう。和人は…その、養子でさ。本当の両親はもう亡くなってるらしいんだけど、付き合ってた…というより友達だった頃からよく話してくれたのに、別れてからはさっぱりだったかな。」
私も私で、自分のことはウソをついていたわけだし。