私立!皇奏大学探偵サークル事件簿2―君の呼ぶ声―
伶は立ち止まって、私を見た。
私もつい立ち止まる。
伶はおもむろに口を開いた。
「君と別れた原因、恐らくは『自分から遠ざけるため』だろうな。」
「…はい?遠ざける?いや、だったらもう話さないとか、仲良くしないとかでしょ。なんで恋人関係を終わらせるだけなのよ。」
おかしい。分からない。
和人は『ごめん』としか言わなかった。
一緒に帰らなくなった。
一緒に昼休みを過ごさなくなった。
お互いの部屋に入れなくなった。
たったそれだけだ。
「君と佐野 和人とその周りの同級生とかは違和感は感じなかっただろうけど、外から見たらどうだ?単なる同級生程度にしか見えないつきあいだろ?」
あ。
確かに。
「感心してる場合じゃないこのニブイお人好しが。佐野 和人は外の誰か…もしくは何かに君の存在を知られたくなかったんだろう。」
「なんで…」
和人がそんなことを?
私の疑問は伶の溜め息によって阻まれた。
呆れたような顔をして、言う。
「それをこれから調べるんだろうが。」
キレイな気まぐれネコは、うんざりといった声を出した。