私立!皇奏大学探偵サークル事件簿2―君の呼ぶ声―
まずはデスクから。
佐野 和人は生物学専攻なだけあって、机の上にある本は微生物や生体防御に関する本がならんでいた。
引き出しを開けてみたがパソコンはなし。
というか、引き出しの中にはなにひとつなかった。
それから、本棚。
こっちにはマンガとか小説とかが置いてある。
それから、写真。
これも本棚に置かれてあった。
写真には…佐野 和人と、恐らくその恋人、新井 千尋が水族館の水槽らしきものをバックに写っていた。
俺はもっと近くでその写真を見ようと写真立てを持ち上げる。
新井 千尋がかってきたのだろう。
ブルーのステンドグラスがあしらわれたステンレスフレームの写真立て。
しかし、俺が持ち上げた瞬間、写真の位置が少しずれた。
「…!」
…ずれたほんのわずかな部分から、別の写真が顔をのぞかせていた。
俺は失礼、と心のうちで佐野 和人にわびながら写真立ての裏のカバーを取り外し、写真を裏返す。
「これ…」
俺は、つい声をあげてしまった。
佐野 和人は、いったい何を考えているんだ。
こんな写真を、置いておくなんて。
俺の声に反応した神野が俺の見ている写真を覗き見て、驚愕の顔をした。
「どうして…これ…が…」
ビックリするのも無理はない。
なにせ、そこにあった写真は…
佐野 和人が新井 千尋と写っていた写真の背景と全く同じ背景で、
佐野 和人と、
「もう捨てたって、言ってたのに…!」
神野 深青が写っていた。