私立!皇奏大学探偵サークル事件簿2―君の呼ぶ声―
「深青ちゃんはさ、人に囲まれはしていただろうけど、あんまり好きじゃなかったんじゃない?同級生のこと。」
「どうして…」それが。
最後は声に出せなかった。
誰にも知られていない。
誰にも、兄にさえ言っていない。
私には、特に親しい同級生なんていなかった。
和人以外、いなかった。
1人ってわけでもなく、かといって誰かと特に親しいわけでもなく。
「…驚いた。すごいわね。」
「すごい…?」
なにがすごいんだろう。
那智ちゃんはチラッと伶がまだ話しているのを確認して、
「言っていたのは八雲よ。」
伶…?
「八雲が言ったのよ。あなたが、高校時代そんな感じだったんじゃないだろうかって。」
伶が
そっか。
「…伶が好き?」
那智ちゃんは複雑そうな顔でそう言った。