私立!皇奏大学探偵サークル事件簿2―君の呼ぶ声―



「皆川さん、お手柄です。」


『は?』


「それでは、俺はいろいろ忙しいのであとは頑張ってくださいね。」




俺はそれだけいうと『おいっ、ちょっと待て伶ー!』という皆川さんの叫びを無視して通話を切った。



放置状態にしてしまった神野と佐藤さんの方を振り返る。




「…………なにやってるんだ。君達は。」




呆れ半分、驚き4分の1、困惑4分の1で俺はそう言った。



いや、言いたくもなる。


彼女たちは田んぼが広がり障害物がなく他人から丸見えなこの道のど真ん中で抱き合っていたのだから。




「なによ。いいじゃない。」




もっと反撃してくるかと思ったのに、佐藤さんはあっさり神野を開放した。



放された神野の顔を見ると、泣きそうにみえてそうじゃない、かと言って強がっているわけでもなさそうな、そんな顔をしていた。



神野はたまに、本当にたまにこういう顔をする。



「行こう。和人の部屋はあと少しで着くから。」



そして必ず、笑顔でごまかす。







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