私立!皇奏大学探偵サークル事件簿2―君の呼ぶ声―
コノヤロウ。
私の反論は完全にうちのめされた。
…そう。
私は同級生の顔を覚えていない。
見事にバレてしまった。
理由は伶が言った通り。
…私はあまり、他人には近付きすぎない。
一定の距離を置いて。
決してその枠を出ない。
「君の性格は君が思っているほどうまく隠せてはない。少なくとも、俺には分かる。」
伶は静かにそう言った。
いつの間にか那智ちゃんは外に出てしまっていたのか、いなかった。
静まり返る部屋。
田舎町らしく、外では鳥の鳴き声が響いている。
私は自嘲気味に笑ってしまった。
伶は、そんな私を見て目を細めた。
パトカーのサイレンが近付いて来た。
きっとそのうちやじ馬が集まって来る。
何もない田舎町だから、噂は一瞬で広がる。
私はいつも通り、笑って言った。
「先に下に降りてるね。」
どうやら、私は伶に、自分で思っているより近付きすぎたみたい。