私立!皇奏大学探偵サークル事件簿2―君の呼ぶ声―
いつから知りたいと思うようになったのか。
一緒にいて、時々見せる自嘲気味な笑い。
どこか諦めたような目。
決して見せようとしない弱音。
どうしてあいつは、と考えてしまう。
俺には、神野を理解出来ないのか。
させてくれないのか。
本当は俺は、答えを知っている。
知らないふりをしているだけ。
俺は刑事にテキトーな事情をでっちあげて話しながら、そんなことを考えていた。
バカみたいだと、思うだろうか。
以前の自分なら鼻で笑い飛ばしていたに違いない。
刑事から帰っていいと言われた時には、既に夕方だった。
佐藤さんはいつ呼んだのか車(無駄に外車)で帰っていった。
契約は今日だけだったから。
神野は残念そうにしながらも、俺に笑いかけて言った。
「帰ろう。伶。」
俺は彼女に、惹かれている。