私立!皇奏大学探偵サークル事件簿2―君の呼ぶ声―
「え?なんで伶?」
今回は明らかに私の身内、というか顔見知りが狙われている、はずだ。なのになぜ伶が出てくるのだろう。
そう聞くと、伶はため息をつきながら呆れたような顔をした。
「悪かったわね。私、あなたと違って理論派なの」
「理論派ならもっと理論をたててものを喋れ。」
グッと黙るしかない。せめてこのくらいとぷいっとそっぽを向いた。
伶はそのまま説明を続ける。
「よく考えろ。蠣崎美鶴も珀仙 和人も君の知り合いだ。君へのあてつけならなぜ珀仙和人を解放した?それはおかしい。あてつけなむしろ珀仙和人の恋人で十分だ。わざわざ俺の家の前に珀仙和人を転がしたのもおかしい。」
「でもそれって、私が伶の家に住んでるってわかってたからじゃないの?」
「いいや、君へのあてつけなら、君の前だけに転がせばいい。神野、俺の家への方向に帰ってくるためにはこの閑静な高級住宅街を通ってこなければいけない。つまり、君はこの街では1人になる可能性が高い。なのに、わざわざ俺の家の前にしたのは、俺に見せたかったとしか考えられない。」
伶はなぜか見せたかったという部分を強調した。