私立!皇奏大学探偵サークル事件簿2―君の呼ぶ声―


極めて不愉快だがな、と、伶はそうつけたした。



理由はともかく、私たちは犯人の思惑通りに事件の舞台に立たされた。


引き戻るには遅すぎる。進むにも危険。


これは挑戦だ。


いや、挑戦といえば聞こえがいいが、要はゲームを挑まれている。


勝ってみせろと言われている。



ショックで思考のまとまらない私をよそに、伶は話を元に戻す。




「まぁ、これは今更だ。悩むだけ損。よって話をはじめに戻そう。情報から察するに、犯人は複数、頭脳労働とある程度の行動は女、殺しは完全に男と見ていいだろう。」


「確かに、俺と千尋を監禁してたのは女だったけど、どうしてそう言い切れる?」


「あんな趣味の悪い殺しをするのは頭は切れるけど抑制がきかない人間だ。自らの殺しに美学を見いだし、そこを絶対に譲らない。だとしたら、殺してはまずい人間には近づけさせないのが道理だ。目をつけてしまえばどう言われようと殺す。そんな人間に、人を監禁するっていうことを任せるやつは阿呆だ。」




頭がおかしいのは私なのか、それとも、こんな状況でも推理を続ける伶なのか。


いや、どちらもおかしくはないのだろう。


私は背後に伶の存在を感じながら俯いたまま、和人と伶の話に耳を傾け続けた。





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