寄り道小道迷い道
「うはははやっべー響女にしか見えねぇー!!」
「うぅっ…見るなぁー!」





何処からそんな流れになったのか、皆のざわめきの渦中に、美少女。
金髪で今は涙ぐんでる元気そうな瞳が印象的な美少女だ。

…まぁ、男なんだけど。


「響君は金髪だからカツラも金髪だよっ♪」

今やボンボンのついたゴムでサイドテールにまでされていて街中を歩いていれば男だってわからない程になっている。

女装させられている張本人、東堂 響(トウドウ ヒビキ)の双子の妹、鈴はもういじられた髪より響をいじるほうに夢中だ。

「ギャハハッ!!似合ってるやーん!」

視界端で古市 愛斗(フルイチ アイト)まで女装させられている。

「……」

女装させた愛斗を見て、女装させていた張本人、大西 麻美(オオニシ マミ)が一言。

「…なんか、新垣 結衣チャンに似てる…」


…あぁ、言われてみれば。


そんなことをぼんやり考えていると、僕を見ていた現夜がにっこり笑ってさりげなく提案。

「んじゃ泰斗君も女装しちゃえばっ?」

…………………はい?


直ぐさま僕の双子の兄、晃矢(コウヤ)が口を挟む。

「こいつ文化祭で女装させられたんだぜっ」

…余計な事を。
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