寄り道小道迷い道
1番最初に思い浮かべた、目の前にいる赤髪灼眼の、彼。


「っ!!」


どうして今まで気付かなかったんだろうって、思った。
私は、どうしようもないくらい邪鬼の事が好きになってた…。








「…俺、な。紗耶香の事…す、好きなんや…っ付き合うてくれ!」

彼に言われたのは、それからすぐ。
その髪よりも真っ赤で、必死に言ってくれた彼が、本当に愛しいと思った。




想う以上を、望んでなかった。
望んでしまったら、きりがないから。

なのに、
なんでこの人は、
こんなに嬉しい事を言ってくれるんだろうって、
なんて可愛いんだろうって思った。














「…まったく、事故に遭った急患を見て気を失うとは…ま、しょうがないか。血まみれでしたしね♪」


私の知り合いが来た時用にお父さんが確保してくれた空き部屋。

私は気絶した邪鬼にひざ枕をしながら、そう嬉々として話す医梁さんに苦笑した。

おじいちゃんの所に行った医梁さんを見送ってから、部屋に沈黙が落ちる。



私はそっと、紅い髪を撫でる。
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