フッてくれて有り難う【季節短編】
今しかない、言わなきゃ。
制服のポケットに入れているイルカのペンダントを握り締めて、そっとポケットの外へ出した。
「これ…」
俯いたまま、手にペンダントを乗せて彼に見せた。
「でも、私ずっと好きだったんだ」
雨に負けないようにと頑張って言ったけど、声が裏返らないようにしっかりと言ったけど、
でも…それより先に返ってきたのは彼の言葉。
「気付いてたんだな、お前の姉ちゃんと俺が付き合ってるって」
私が一番聞きたくなかった言葉。