フッてくれて有り難う【季節短編】




「…うん」


知ってたよ。でも気付かないフリしてただけ。


お姉ちゃんの首にいつの間にか見知らないイルカの指輪がペンダントにされてあった事も、あいつの首にもイルカの指輪がいつもあった事も。


全部知ってた。


知らないフリをしてただけ。


…でもね、諦めたくなかったの。


だから、たとえ無理だとしても…


「私も、ずっと好きだったんだ」


ちゃんと前を見ると、悲しそうに、でも申し訳なさそうに私を見てるあいつがいた。
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