フッてくれて有り難う【季節短編】
雨が…
雨の一つ一つの雫が、私の涙と一緒に流れた。
まるで雨も一緒に泣いてくれてるみたいに。
雨が降ってるから、私の涙にも誰も気付かない。
優しい雨。
「フッてくれて有り難う」
ポツリと言ったその言葉。
誰に向かって言ってるのか分からないけれど、その理由が分かる遠い遠いその日まで、
今日という日を綺麗な思い出に出来る日が来るまで、
私は泣かない。
今は無理だけどね。
【完】