深海から見える灯【完全版】
久々に高校の親友チカに会った。

チカはあたしの事をすごく心配してくれているのに、あたしは自分の事をほとんど話さなかった。

何か、彼を見てから、今なら話せるかもしれないと思った。


チカの家に行って、あたしはキャバ嬢だった事、子供の事、すべて話した。

チカは驚いていたけど、真剣に話を聞いてくれた。

「何で、今、話してくれたの？」

チカの疑問に、あたしはちょっと考えた。

（もしかしたら引くかもな･･･）


でも、キッカケがそのバンドの彼なんだからしょうがない。

あたしは彼を見たときの気持ちをそのまま言った。

チカは引く事なく聞いてくれて、しばらく考えていた。

あたしが「どうしてもその人に会いたい」と言った事を考えているみたいだ。


「うーん、どうかな？一応聞いてみるか」


携帯を取り出して、チカは東京で美容師をしている自分の弟へ電話をした。
チカの弟が勤める美容室には結構有名人が来るらしい。


あたしもチカも「まぁ、ありえないでしょ」と思っていた。

しばらくチカは弟に説明をしていた。そして「え！？」と大声を出した。

「うらら、そのバンドのマネージャーが客だって、どうする？」

チカは興奮気味に言った。

「手紙！！あたし手紙書くから渡して！！」

あたしも興奮した。


何だかんだ、あたしの周りには間接的に彼を知っているという人がいっぱいいた。



「ちょっと！！会えるかもだよ！！うららちゃん、どうする！？」

ユッコちゃんも興奮していた。



しばらくして、あたしとユッコちゃんはそのバンドのライブに行く事になった。



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