深海から見える灯【完全版】
結果、ヒロの電話告白はOKだった。

ヒロは電話を切った後、ベッドの上でビョンビョン跳ね回り、なぜかあたしやヤスくんや西の背中をバンバン叩いて「おめでとう!」と自分から言っていた。
それだけ嬉しいって事はわかったけど・・・・。

「結局、もっとりっちゃんと電話したいから帰れって・・・あたし達何だったんだろうね」

あたしは西の家から出てヤスくんに笑って言った。

「一応、応援した事にはなったんじゃない?良かったよな」

(あんな横暴なヒロに比べてヤスくんは天使のようだわ!!)

「じゃぁ、オレ帰るけど・・・・」

ヤスくんは別れ道で言った。

「あ!!待って!ちょっと待って」

あたしは慌ててカバンの中をゴソゴソした。

「どうしたの?」

ヤスくんは不思議そうにあたしを見ている。

(あたしも・・・!ヒロにあやかって幸運がきますように!)

あたしはカバンから手紙を出してヤスくんに渡した。

「何?うらら、これ何?」

手紙をやっぱり不思議そうにヒラヒラさせている。

「あのね!・・・・」

(口で言うのは絶対無理ー!!)

ヒロと作戦を練った時、あたしはそう言った。
そうしたら、ヒロが「好きですって手紙書いて、これ読んで返事下さいって言えばいいじゃん。簡単だろ?」と言った。

そう言われて何日も前から書き直し続けた手紙。

「それ、手紙。そう、手紙なんだけど」

あたしは下を向いて機関銃のような早さで喋った。

「うん」

多分、ヤスくんはちょっと戸惑っている感じがする。

「それ、読んで・・・・、あの返事下さい!!」

(あたし言えたぁー!!)

「え?手紙の返事?」

「そう!・・・、いや、とにかく返事下さい。・・・じゃあね、バイバイ!」

あたしはヤスくんの顔は一切見ないで走って家に向かった。

(ヒロ、あたしも告白したよ!!)
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