深海から見える灯【完全版】
「あたしがこの世で一番大切にしてる人って言ったの。・・・連れてきてくれてありがとう」

あたしは頭を下げた。



恋人はしばらく間を開けてから言った。

「毎年来ようか?ヒロくんに会いに」



あたしは嬉しくて「うん!」と笑顔で言った。






この頃、あたしのIPODにはヒロが好きだった歌手の曲と、それをカバーした曲、両方が入っていた。

もう聴くのが怖くなくて、逆に聴いたらヒロを思い出せる。
優しい気持ちでヒロを思い出せるようになっていた。




でもやっぱり、病気は悪化していた。


ストレスだって事以外は何もわからない。



毎日が不安だった。


底から湧き出るように漠然をした不安感があたしを支配する。


いくら薬を飲んでも寝れるわけじゃなかった。




相変わらずヒロを思っていたけど、それはヒロに心の中で語りかけていただけで、考えていたのはあたしが犯した「罪」。



恋人との将来を考えるとまとわりつくように「人殺し」という言葉が頭をよぎる。



そんな不安感が拭えないあたしにある人が現れた。


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