深海から見える灯【完全版】
その晩、恋人の家にいて、その不思議なオジサンに出会った話をしてた。


恋人はこの手の話をあんまり信用しないから「へー」とだけ言っていた。

あたしも何だか自信がなくなって、たまたま見える人に会っただけかな?と考えていた。


実家から電話がきて出ると母親からだった。

「あの人から忘れてたって電話きたんだけどね。あんたのオーラを無理矢理引っ張り出したから、多分、熱が出ると思うけど、風邪とかじゃないからそのまま熱は出しておいてだって」


あたしは母親の言葉に笑った。

「あたし熱なんて出てないよ。本当かなー?」


「わかんないけど、万が一熱が出たらほっとくんだよ」

そう言って母親は電話を切った。


その晩は熱は出なく普通に寝たが、次の日の朝、ものすごく身体がだるい。
でも、風邪のような間接が痛くなるようなだるさじゃなくて、ただ頭がボーっとしていた。

体温計で熱を測ると39度も熱があった。

でも、不思議と具合悪いわけでもなく、熱によるだるさだけだ。


母親に電話をかけて、それを伝えると母親もビックリしていた。


オーラが見える人。

そんな人がいるんだな、あたしが信じた瞬間だった。



今でも身体が不調だったりすると、その人に連絡をして、あたしの現状の確認をしている。
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