深海から見える灯【完全版】
目が覚めると、父親の姿が見えた。


「あ、お父さん・・・」

あたしが言うと、その隣に救命の格好をした医者が立っていた。


「うららさん、わかりますか?倒れたんですよ。憶えてますか?」


何か、それ言われた気がしたけど夢だと思ってた。


「全然わからないです・・・、記憶、何もないです」


答えてから自分の状況を見た。

腕には点滴。身体には心電図の管がいっぱい繋がれている。


「お母さんが手術に成功して安心したのかもな」

父親は言った。


「あ、そうなの・・・?」


最近、母親の病気の事と、流産の事で相当神経がピリピリしていたと思う。

だから安心して倒れちゃったのかな?


「でもね、うららさん不整脈が出ていたので入院してもらう事になります」

医者が言った。


「入院?」


身体はダルいけど、別にどこも具合悪くないよ?



「お母さんもこの病院に入院してますし、お母さんは外科的手術なので、明日にでも動けるようになりますから。そしたら、お母さんも来ますからね」


あたしはさっぱり意味がわからないまま入院する事になった。
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