深海から見える灯【完全版】
14歳からのあたしの人生はフィルターがかかったみたいにぼんやりで・・・


深海から上を向いてうっすら見える灯りを見ているような、そんな底にいた。


でも、その深海にも届くような声でヒロが必ずあたしを呼ぶ。



その言葉は重みがあったり、「うらら、ビール買ってきて」みたいな軽い言葉だったり。



ヒロは確かに二十歳でこの世からいなくなってしまった。


いなくなって、ますます深海に埋もれるあたしに変わらず合図をくれる。


もう言葉じゃなくて、言葉に出来ないからペンライトで照らしてみたり、見えないからって後ろからポカって頭を叩くような感じとか。


とにかく合図を送ってくれている。


それは今も変わらないと思う。



あたしはヒロに出会えてよかった。


まだ、幼くて苦しい時に一緒にいてくれた『親友』






お墓をポンと軽く叩いてあたしは笑う。



「ヒロ、あたし今日もちゃんと生きてるよ」





                             ~END~






後書きは今、あたし、「うらら」がヒロへ伝えたい事です。
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