深海から見える灯【完全版】
段々、クラスに人が入りはじめると少しは声が聞こえるようになってきた。

「うわー、お前と同じクラスかよ」

とか、

「小学校以来だねー、嬉しいよぉ」

とか。

あたしは入ってくる人を見ては、心の中で
「この人知ってる」「この人、喋った事ある」「誰?」
と言っていた。


そんな事を考えていると、ドアの向こうが今までにないくらいうるさくなった。

あたしの席は廊下側で、廊下が見れる大きな窓がついているから、ちょっとビックリして覗いてみた。

「ギャっ!!」

思わず口に出してしまうくらいの集団。
属性『ヤンキー』。

制服をめっちゃくちゃに着崩して、7、8人で教室の前にいる。

ヤンキーって嫌いなんだよなー。
何でオシャレな感じで「不良」になれないんだろ?
頭が悪いのカッコイイと思ってる時点でカッコ悪い自覚ないしさ。


うんざりしながら窓を覗いていると、いきなり視界が暗くなった。

「え?」

目線を上に移すと・・・

「うらら、お前このクラスかよ」

と、ヤンキーの1人が声を掛けてきた。

「ビックリしたぁ・・・、アンタか」

相手は1年の時、同じクラスだったヤンキー。

「葬式みたいなクラスだな」

「みたいだね。馴染める気がしないよ」

「オレは結構楽しそうなクラスだぞ」

ヤンキーは次々に仲のいい友達の名前を挙げていった。

「はぁ!?何それ!!クラス代われよー」

(もー!何であたしだけクラス離れてるのさ!!)

泣きたい気分で窓に寄りかかった。
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