深海から見える灯【完全版】
「はい」

電話に出るとヒロだった。

「話の続き。小猿いたら話できねーから」

「うん」

あたしは転校するいきさつを説明した。
ヒロは相槌を打つ以外は何も言わなかった。

「やっぱりさ、あたしはヒロに一番に相談したかった」

あたしが言うとヒロはちょっと笑った。

「別にアフリカに行くってわけじゃねーんだからさ。そりゃ、お前とはいっぱい思い出あるから寂しいよ。それは間違いねー。でも・・・」

「でも?」

「例えお前がアフリカ行ってもオレはお前の一番の親友だよ。それは変わらん。
どこに行っても何かあったらすぐ連絡してこいよ。まぁ・・・、その時に金があればすぐそっち行くから」

あたしはヒロの言葉に泣いてしまった。

「うん」と言うのが精一杯で、ヒロとの思い出とかヒロがあたしに言った言葉とか走馬灯のように一気に思い出して涙が止まらなかった。






翌月、あたしは転校した。
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