深海から見える灯【完全版】

19歳

高校時代の友達で学生になったのはあたしだけだった。


「またいないんだ・・・」

高校時代同じグループだったミカの1人暮らしの家であたしはガッカリした。

「あんたってタイミング悪いよねー。いっつもサトシいるんだけど」

今日は仕事が非番のミカはタバコをくわえながら焼きそばを作っていた。



卒業して1人暮らしを始めたミカの家には高校時代の友達が毎夜毎夜と遊びに来ていた。
サト達のグループもしょっちゅうきているらしい。

19歳、仕事をしているかプーが多いあたし達の友達にとってミカの家はまさにたまり場。
サトとあんまり仲良くなかったミカ達もすっかりみんな仲良くなっていた。


あたしは彼氏もいるし、学生だし、居酒屋でバイトもしてるから全然みんなと時間が合わない。

この時、サトはまだ特に仕事をしていなかったから、夕方には来るんじゃない?とミカから電話が来てあたしは急いでミカの家に来た。


「はいよ、焼きそば」

ミカがテーブルにあたしの分と自分の焼きそばを置いた。

「ありがとう」

あたしはちょっとむくれてお礼を言った。

「あんたさ、人がせっかく作ってやったのにその態度はないでしょ」

頭をポカっと叩かれる。

「まぁ、あんたがサトシの事をだーい好きなのは有名だもんね」


あたしは高校時代からサトだけを好きだったし、別にあたしの気持ちを隠す事もないよなと思って「好きな人誰?」と聞かれると素直に「サト」と答えていた。


「うーん、でも超イタ電多いけどね。『オレ、サトシ』って。いや、あんたサトじゃないしってバレバレなの」

あたしは笑った。


「で、彼氏は?別れてくれそう?」

ミカは焼きそばを食べながら聞いてきた。
あたしは首を振った。
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