深海から見える灯【完全版】

20歳

気がつけば、あっという間に2年生になった。

あたしはあの彼氏と未だに別れられないでいた。

束縛はひどくなり、何度言っても別れてはくれない。しまいには、浮気ばっかりしているようなしょうもない男だ。


女子大だけあって、帰りには校門の前に車が並んでいて彼女を迎えにくる人がたくさんいる。

あたしの彼氏もたまに迎えにくるけど・・・

「送って行こうか?」

短大の友達が自分の彼氏の車のそばであたしに言った。

「うーん、でも、ウチ遠いし・・・」

と言っているとクラクションが鳴った。

見るとバリバリのアメ車仕様の車がもう一度クラクションを鳴らした。


よーく見てみると・・・

「サト?」

ビックリして、友達に「ごめんね」と謝って車のそばに走った。

サトは車が大好きで整備士の仕事に就いた。
特にアメ車が大好きだったはずだけど・・・。


「サト、どうしたの?」

あたしは驚きを隠せない。

「ん?近くにいたからついでに迎えにきた。乗って」

サトは笑顔で言った。

あたしは不思議な気持ちでサトの車に乗った。



車を走らせているサトにあたしは言った。

「久しぶりだね」

前を見ながら「そうだね」とサトは言った。

「まだ付き合ってるの?」

サトの言葉にあたしは苦笑いをした。

「一応は。浮気されてばっかり」

「ふーん。うーちんは浮気しないの?」

「しないよ!だって好きな人いるし・・・」

あたしの言葉にチラっとこっちを見た。

「彼氏じゃない人が好きなの?」

あたしはどうしようか迷った。

彼氏と付き合っても、やっぱりあたしはサトが好きだった。

「・・・何度も何度も繰り返すの。繰り返すってより変わらないの不変なの」
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