Black★Joker【完結】
違うんだ。美空に謝ってほしいんじゃない。
そんなに辛そうな顔をさせたいんじゃない。
こんなこと言うはずじゃなかったんだ……。
「もう僕のことはほっといてよ?」
ごめんね、美空。
唇を震わせて今にも泣き出しそうな美空に心の中で謝る。
「優……」
「じゃあね」
何かを言い掛けていた美空を無視して僕は歩きだす。
鼻の奥がツンっと痛んで、目頭が熱くなる。
ダメだ、まだ泣くのは早い。
顔を持ち上げて涙をグッと堪えて、急いで角を曲がる。
「……っ……」
美空の姿が見えなくなると、僕は電柱の陰で目に浮かぶ涙をゴシゴシと拭った。