Black★Joker【完結】

違うんだ。美空に謝ってほしいんじゃない。


そんなに辛そうな顔をさせたいんじゃない。


こんなこと言うはずじゃなかったんだ……。



「もう僕のことはほっといてよ?」


ごめんね、美空。


唇を震わせて今にも泣き出しそうな美空に心の中で謝る。



「優……」


「じゃあね」


何かを言い掛けていた美空を無視して僕は歩きだす。


鼻の奥がツンっと痛んで、目頭が熱くなる。


ダメだ、まだ泣くのは早い。


顔を持ち上げて涙をグッと堪えて、急いで角を曲がる。


「……っ……」


美空の姿が見えなくなると、僕は電柱の陰で目に浮かぶ涙をゴシゴシと拭った。

< 125 / 381 >

この作品をシェア

pagetop