Black★Joker【完結】
乾いた音が部屋中に響き渡り、思わず体をビクッと震わせる。
パイプ椅子から転げ落ちそうなくらい驚いてしまった。
龍馬はそんな僕の反応を見て、何度か瞬きをするとグッと唇を噛んだ。
「……何で笑ってるの?」
「別に笑ってねぇよ。こういう顔なんだよ!」
僕は肩を震わせて笑いを噛み殺している龍馬からプイッと顔を反らした。
「なぁ、メソ男」
すると、ようやく笑いがおさまったのか龍馬が真剣な表情で僕を見た。
「お前が美空のこと好きなのは薄々気付いてた。でも、俺も美空を好きになっちまったんだよ」
「そ、それがどうしたっていうんだよ……」
強がっているのに思わず声が震える。
「俺、美空も大事だけどお前もそこそこ大事。だから美空とお前が揉めるのも嫌だし、俺もお前と揉めたくない」
「じゃあ、僕にどうしろって言うの?」
「美空を傷付けないって約束するなら、別に何してもいい」
「美空と一緒に登下校してもいいの?」
「いい」
「美空と二人で出掛けてもいい?」
「いい」
「僕が美空に……告白してもいいの?」
「いい」
表情一つ変えずそう言い切った龍馬を見て僕はガックリと肩を落とした。