Black★Joker【完結】
「美空ちゃん、おかえりなさい」
コーヒーの香りが漂うリビングに足を踏み入れて、あたしはハッとした。
「あ……おばさん、久しぶりです」
コーヒーカップをテーブルの上に置きながら、おばさんはニコリと笑う。
久しぶりに会った優のお母さんは少しだけ痩せた気がした。
というより、やつれているようにも見える。
前はもっとふっくらしていて柔らかい印象があったのに。
「久しぶりね。元気だった?」
「はい……」
隣同士の家に住んでるのに「元気だった?」って聞くのってなんか変な感じ。
でも、あたしとおばさんは数年間ほぼなんの関わり合いもなかった。