Black★Joker【完結】
おいおい、何で男のくせにメソメソ泣くんだよ。
俺はただの通行人であって、お前を助けるためにここに来たんじゃねぇよ。
勘違いすんな。
メソ男、ウゼェ―。
「テメェ、誰だよ?!」
……ほら見ろ。
俺が反感買っちまったじゃねぇか。
「あー……、ただの通りすがりです。どーぞ、メソ男を煮るなり焼くなりご自由に」
俺はニコリと満面の笑みを浮かべてこの場をやり過ごすことに決めた。
めんどくせぇことはごめんだ。
それに、一刻も早く煙草を吸いたい。
そのまま愛想笑いを浮かべて立ち去ろうとした瞬間、こめかみに鈍い痛みを感じた。
「いってぇ……」
ジンジンと痺れたように痛む場所に手を当てると、指先にじんわりと生温かい何かが触れた。