Black★Joker【完結】
「龍馬、ありがとう」
店を出ると、メソ男は小さく頭を下げた。
「別にー。俺、実はお前より先輩だからな」
「先輩には思えないけどね」
「うるせぇな。タメ語つかうな!敬語遣え!!龍馬様と呼べ」
「はいはい、分かりましたよ。龍馬様」
メソ男は呆れたようにクスッっと笑う。
なんだよ。もう機嫌なおったのか。
ったく、浮き沈みの激しい奴。
まぁ俺も人のこと言えねぇけど。
「腹も膨らんだし、そろそろ帰るかー」
そう言いながらポケットの中の携帯に手を伸ばす。
バイト終わったし、美空に連絡するか。
「龍馬からメールがくると嬉しいんだ」
嬉しそうにそう言っていた美空の顔を思い出す。
煙草をくわえながら携帯を弄っていると、煙が目に入ってしみた。
思わず目を細めると、視界がぼんやりと曇る。
「あー……、最悪」
『メソ男とらー』までしか打っていなかったのに、ディスプレイには≪送信しました≫と表示されている。