Black★Joker【完結】
辛い過去 優サイド
【優サイド】
「もしもし?龍馬?大丈夫だった??」
ブルブルとポケットの中で震える携帯。
慌てて取り出して耳に当てると、低い声が耳に届いた。
「おー、全然平気」
「そっか。よかった。一人で逃げちゃってごめん」
「気にすんな。これからも変な奴に絡まれた一人で逃げろ。お前じゃ役に立たないからな」
「そんな言い方しなくても……」
「つーかお前、もう家着いた?」
「あと五分くらいで着くよ」
そう答えると、龍馬は何故かハァと息を吐いた。
「ガキは家に帰って早く寝るのが一番だ」
「ガキって……。僕と龍馬は一つしか変わらないだろ?」
うんざりしながらそう呟く。
「お前がガキなら俺もガキに決まってんだろ」
「自分で自分のことをガキって言うなんて……」
「言っちゃ悪い?」
龍馬の頭の中をかち割って、脳の構造がどうなっているのか調べてみたい位だ。
「あ、今家の前に着いたよ」
僕がそう言うと、龍馬は「じゃあな」と一方的に電話を切った。
あたかも僕が家に着くのを待っていたみたいに。