Black★Joker【完結】
母さんは父さんに怒鳴られる度に、壊れていくようだった。
趣味だったお菓子作りをしなくなり、家に引きこもる様になった。
生気の感じられない母さんの様子に父さんはうんざりしていた。
そして、僕が中学に入学すると同時に父さんは荷物をまとめて家を出ていった。
父さんが母さん以外の女の人と付き合っていたのを僕は知っている。
夜中、トイレに行こうと部屋から出るとボソボソと喋る父さんの声が聞こえてきた。
「あぁ、大丈夫だ。もうすぐあいつとは別れるから」
僕が受験に失敗しなければ、父さんが浮気することもなかった。
そうすれば、家族三人で今までのように仲良く平凡に暮らしていけたんだ。
僕は……
この手で母さんから【父さん】という存在を奪ったんだ。