Black★Joker【完結】
父さんが家を出ていってからしばらくの間、母さんは抜けがらそのものだった。
ぼんやりと外を眺めていることが多かったけれど、それなりの家事はしてくれた。
また前のような母さんに戻ってほしい。
事の発端が自分だと分かっていながらも、勝手にそんなことを考えていた。
「優、あなたにあんなガサツなお友達はいらないわ」
そんなる日、母さんは僕の友達関係に口を出してきた。
僕がその当時、一番仲良くしていた友達を母さんは悪く言った。
中学生にしては体が大きくて、クマみたいだからみんなに「クマ」と呼ばれていた。
人一倍体は大きいのに、心は優しくて。
僕はそんなクマが大好きだった。