Black★Joker【完結】

「この人の分のお金も僕が払いますから!だから見逃してください!!」


慌てて財布を取り出すと、震える手で札を引き抜こうとするメソ男。


こいつ、俺の分まで払ってくれるのか。


そりゃ助かる。


メソ男のくせに案外いい奴だ。


……あ?でも待てよ。こいつが……いい奴……?



「って、違ぇだろーが!テメェのせいで俺が被害をこうむったんだ!!分かってんのか!!」


「ご、ご、ごめんさい!ごめんなさい!!」


「ごめんなさいで済めば警察いらねぇんだよ!お前が呼びとめたせいで俺が殴られたんだぞ?!どうしてくれんだよ!!」


メソ男の胸ぐらを掴んで前後に揺すりながら大声で怒鳴る。


「そもそもなんでこいつらに金払おうとしてんだよ!!払うなら怪我した俺に……――」


すると突然、ガシッと誰かに右腕を掴まれた。


「……っんだよ!!」


「何してるのかな?」



……マジかよ。


腕を掴む人物が誰であるか悟った俺は、思わす口ごもった。


「あー……、友達と遊んでた……だけ?」


「遊んでただけ?悪いけど、ついてきてくれるかな?」


俺はニコッと笑う若い警官に手を引かれパトカーに連れていかれた。


「俺は何もしてねぇよ!あいつらが……――!」


「あいつら?誰もいないけど?」


「……マジかよ……」


「話は署に行ってからゆっくり聞くよ」


俺を殴った2人組は、異変に気付いたのかいつの間にか姿を消していた。







< 17 / 381 >

この作品をシェア

pagetop