Black★Joker【完結】
「この人の分のお金も僕が払いますから!だから見逃してください!!」
慌てて財布を取り出すと、震える手で札を引き抜こうとするメソ男。
こいつ、俺の分まで払ってくれるのか。
そりゃ助かる。
メソ男のくせに案外いい奴だ。
……あ?でも待てよ。こいつが……いい奴……?
「って、違ぇだろーが!テメェのせいで俺が被害をこうむったんだ!!分かってんのか!!」
「ご、ご、ごめんさい!ごめんなさい!!」
「ごめんなさいで済めば警察いらねぇんだよ!お前が呼びとめたせいで俺が殴られたんだぞ?!どうしてくれんだよ!!」
メソ男の胸ぐらを掴んで前後に揺すりながら大声で怒鳴る。
「そもそもなんでこいつらに金払おうとしてんだよ!!払うなら怪我した俺に……――」
すると突然、ガシッと誰かに右腕を掴まれた。
「……っんだよ!!」
「何してるのかな?」
……マジかよ。
腕を掴む人物が誰であるか悟った俺は、思わす口ごもった。
「あー……、友達と遊んでた……だけ?」
「遊んでただけ?悪いけど、ついてきてくれるかな?」
俺はニコッと笑う若い警官に手を引かれパトカーに連れていかれた。
「俺は何もしてねぇよ!あいつらが……――!」
「あいつら?誰もいないけど?」
「……マジかよ……」
「話は署に行ってからゆっくり聞くよ」
俺を殴った2人組は、異変に気付いたのかいつの間にか姿を消していた。