Black★Joker【完結】
「きっとおばさんに何か言われたんだよ……」
「メソ男の母親?」
「そう……。おばさん、昔と変わっちゃってね。優って優しいからおばさんを傷付けたりできないんだと思う」
「へぇ。でもまぁ俺にはもう関係ないことだけど」
「龍馬……」
何で美空が泣きそうなんだよ。
美空の辛そうな表情をこれ以上見ているのがしんどくなってきて。
「俺、帰るわ。美空も早く家に戻れ」
美空の頭をポンッと叩きながらもう一度メソ男の部屋を見上げた。
電気の消えた部屋の中でメソ男は一体何をしているんだろう。
困ったことがあるんなら一人で抱え込まずに言ってこいよ。
どうせ、また一人でメソメソ泣いてんだろ。
初めて会った時のように……。
俺はどうすることもできず、ポケットの中の煙草に手を伸ばした。
「……んだよ。ツイてねぇな」
煙草をきらしていたことを今頃になって思いだすなんて最悪だ。
俺は空の箱をギュッと握り潰しながらポツリと呟いた。