Black★Joker【完結】
カツアゲにあい助けを求めた相手に胸ぐらを掴まれて怒鳴られて。
不良の集まりである一条工業の生徒だと気付いていれば、最初から助けなんて求めなかったのに。
眉間に皺を寄せて怒りを露わにしたあの人の顔が未だに頭から離れない。
こめかみ辺りから血を流して僕を睨みつけた時のあの目……
カツアゲされた時の数万倍、あの人の方が怖かった。
「優、ついたよー!ここ!!」
美空は駅前のカラオケBOXを指差してニコリと微笑んだ。
「……カラオケ?僕こういうところ苦手だから……」
僕は根っからの音痴だし、とてもじゃないけど人前で披露できるものではない。
美空だって、僕が歌が苦手なのを知っているはず。
それなのにどうして……
「知ってる!でも歌おうとして来たんじゃないから大丈夫だよ」
え?じゃあ、何しに来たの?
美空は不思議がる僕の手を引っ張ると、強引に店に入り受付まで連れていった。