Black★Joker【完結】
「それとこれとは話が別。お前、弱い者いじめして楽しいわけ?やるなら俺にしろよ」
時間を稼ぎながら辺りを見渡す。
この公園におまわりが見回りに来るのは大体22時過ぎ。
まだ時間が早すぎる。
誰かがこの騒ぎに気付いて通報してくれることを願うくらいしかできねぇな。
警察沙汰になって困るのは俺たちじゃない。……仕掛けてきた川上だ。
俺はメソ男と目があったタイミングで、顎をわずかに横に動かして合図を送った。
「逃げるぞ」という合図がメソ男に伝わることを祈ることしかできない。
「お前のことをボコボコにするだけじゃ気が済まないんだよ」
川上は薄ら笑いを浮かべながら、ジリジリと俺とメソ男との距離を詰める。
クソ……。
こうなった原因を作った俊平は今頃涼子ちゃんと楽しくやっているんだろう。
涼子ちゃんは明らかに俊平のタイプだし、鼻を伸ばしまくっているはず。
すぐに店から涼子ちゃんを連れ出したところを見ると、落とす気満々らしい。
あ……、すぐに手を出すなって俊平に伝え忘れちまった。
もし何かあったら、美空に怒られるじゃねぇか。
「……何ボケッとしてんだよ……――!!」
大きく振りかぶった川上の腕が宙を舞った瞬間、俺は「走れ!!」と叫んでメソ男の背中を押した。