Black★Joker【完結】
こんな状況に陥ったのは今日が初めてだ。
もちろん恐喝や脅しは何度もされているけど、自分から相手に立ち向かっていこうとするなんてことは一度もなかった。
人に殴られたことはあるけど、殴ったことなんてない。
僕みたいに弱い奴が龍馬を助けられるとは思ってない。
どうせ、川上やその仲間にボコボコにされるのがオチだ。
でも、僕は龍馬を……
たった一人の大切な友達を見捨てて逃げるような奴にだけはなりたくない。
「……やめろ……――!!」
もうここまできたらやるしかない。
ブンブンと無我夢中で傘を振り回しながら、川上達との距離を縮めていく。