Black★Joker【完結】
「なんだお前!!気でも狂ったのか?!」
川上達の前まで辿り着いたのに、傘は無情にも宙を切る。
ここまできて人を殴るのが怖いなんて、本当に僕は弱虫だ。
「お前、怖いんだろ?」
川上達はゲラゲラと不快な笑い声を上げる。
クソっ……何で手が震えるんだ……。
気を抜けば、傘を落としてしまいそうだ。
悔しくて唇を噛み締めながら地面に座り込んでいる龍馬に視線を移す。
「龍馬……だいじょ……うぶ……」
大丈夫?と聞ける状態ではなかった。
龍馬の整った顔は変形して、膨れ上がっていた。
試合後のボクサー……じゃない。
それ以上に酷い有様だ。