Black★Joker【完結】
龍馬はこんな状況に陥っても、僕の心配をしていた。
「何ゴチャゴチャ喋ってんだよ」
川上は地面の傘を拾い上げて、ニヤッと笑う。
「いい物持ってきたな。楽しくなりそうだ」
川上が何をしようとしているのか考えただけで背筋がぞっと寒くなる。
龍馬を抱えて逃げるなんて無理だ。
川上の他に仲間が4人もいる。
僕の人生も……ここまでか。
絶体絶命のピンチになってギュッと目を瞑ると、遠くの方でバイクのエンジン音がした。
その音は徐々に公園に近付いてくる。
龍馬の友達が助けに来てくれたのかもしれない。
きっとそうだ!!よかった……。
僕同様に川上やその仲間たちもそのバイクの音に気をとられている。
でもそのままバイクは物凄い勢いで公園の横を通り過ぎていった。
「……そんなぁ……」
やっぱりそんなにうまくはいかないか……。
ガックリと肩を落としてうなだれていると、再びバイクの轟き音が近付いてきた。
そして公園の入口付近でヘッドライトが消え、エンジンの重低音が闇にかきけされた。