Black★Joker【完結】

龍馬に何て声をかけてあげたらいいのか分からない。


二人の間に漂う、重苦しい雰囲気。


それを打ち破ったのは「何してんだよ」という男の声だった。


「おー……、兄ちゃんか。マジ助かった」


龍馬のお兄ちゃん……?


驚いて振り返ると、そこには龍馬に負けず劣らずの美貌を兼ね備えている男が立っていた。


龍馬のお兄ちゃんは僕の横をすり抜けて龍馬の前に腰を下ろす。


「助かったじゃねぇよ。テメェ、煙草買ってくるって言ってただろ?早く買ってこいよ」


「やっぱり……覚えてた?」


「お前みたいにバカじゃないからな。こんなとこに座ってないでさっさと立て」


龍馬のお兄ちゃんは天使の顔を持った悪魔だった。


こんな状況で煙草を買いにいかせようとするなんて……。


弟も負けず劣らずだけど、兄の方が……100倍くらいは強烈だ。
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