Black★Joker【完結】
「……行かないと」
僕は制服から私服に着替えると、コッソリ部屋を抜け出した。
運よく母さんはリビングでテレビを見ながら船をこいでいる。
僕は恐る恐る玄関に向かうと、靴を履き替えて外に出た。
「あー、ドキドキした」
母さんに内緒で外出するだけなのに、スリルを感じて少しだけ爽快感があった。
これから川上に殴られるはずなのに、僕はどうしてこんな気持ちになっているんだろう。
今までの僕だったら、絶対に足がすくんで歩くことができなかっただろう。
すぐに誰かに助けを求めて、必死で自分を守ろうとしたに違いない。
でも、今は違う。
僕は龍馬とであって、ほんの少しだけ強くなった。