Black★Joker【完結】

「……美空、そろそろ帰った方がいいよ?もう遅いしさ」


優はあたしの視線から逃れるように、部屋の掛け時計に視線を移す。


「僕はこんなだし、送ってあげられないけど気を付けて帰って?今日は来てくれてありがとう。おばさんにもよろしく伝えてよ?」


「優がベラベラ喋るなんて珍しいこと」


からかい口調でそう言うと、優は顔をしかめる。


「母さんが着替えを持ってくるんだってば!」


「はいはい、また明日ね。何か欲しいものとかあったらメールして?」


「うん、ありがとう」


あたしは優に手を振ると、病室の扉に手を掛けた。



すると、「美空、待って!!」と優はあたしを大声で呼びとめた。



「川上が次に狙うのは龍馬の彼女である美空のはずだ」


顔を歪めて心配そうにあたしを見る優。


「そんなに心配しないで?あたしなら大丈夫だから」


あたしはヒラヒラと手を振ると、笑顔で病室を後にした。







< 329 / 381 >

この作品をシェア

pagetop