Black★Joker【完結】
「……美空、そろそろ帰った方がいいよ?もう遅いしさ」
優はあたしの視線から逃れるように、部屋の掛け時計に視線を移す。
「僕はこんなだし、送ってあげられないけど気を付けて帰って?今日は来てくれてありがとう。おばさんにもよろしく伝えてよ?」
「優がベラベラ喋るなんて珍しいこと」
からかい口調でそう言うと、優は顔をしかめる。
「母さんが着替えを持ってくるんだってば!」
「はいはい、また明日ね。何か欲しいものとかあったらメールして?」
「うん、ありがとう」
あたしは優に手を振ると、病室の扉に手を掛けた。
すると、「美空、待って!!」と優はあたしを大声で呼びとめた。
「川上が次に狙うのは龍馬の彼女である美空のはずだ」
顔を歪めて心配そうにあたしを見る優。
「そんなに心配しないで?あたしなら大丈夫だから」
あたしはヒラヒラと手を振ると、笑顔で病室を後にした。