Black★Joker【完結】
必死に辺りを見渡しても、人のいる気配はない。
俺は壁にそっと背中を預けてポケットの中の携帯を取り出すと、美空に電話をかけた。
それは最後の賭けだった。
美空は電話に出ない。
だけど、携帯の電源が切れているわけではない。
もし美空が近くにいるなら、着信音がするかもしれない。
いや、バイブ音でも十分だ。
シーンっと静まり返っているこの場所で何か物音がすれば……
美空が近くにいるということだ。
≪ブーッブーッ!!≫
すると、ゴミ捨て場の脇で携帯のバイブ音が聞こえた。